運動

筋トレの効果を最大化させる法則(トレーニングの3原理&5原則)

はじめに

この記事をご覧いただいているみなさんは「筋肉を大きくしたい」、「筋力を上げてベンチプレスの重量を向上させたい」という思いをお持ちだと思います。また「中々痩せないんだよな、、、」「ダイエットを成功させたい」など体重や体脂肪を効率的に落としたいと考えている方も筋肉をつけることで、代謝が上がり痩せやすい体作りが可能になります。そんな方々に向けて筋肉を効率良くつけていくための法則をこの記事でお伝えしたいと思います。結論としては、3つの原理と5つの原則を理解して毎日のトレーニングで実践することです。それは、①過負荷の原理②可逆性の原理③特異性の原理の3つの原理と①全面性の原則②意識性の原則③漸進性の原則④個別性の原則⑤反復性の原則の5つの原則です。次からの章ではそれぞれの原理、原則について詳しく説明していきます。

過負荷の原理

過負荷の原理は、トレーニングにおいて非常に重要な概念です。これは、筋肉や体をより強く、より効率的にするためには、通常の活動よりも高いレベルのストレスを与える必要があるという原理です。簡単に言うと、「もっと強くなりたければ、もっと強い刺激を与えなければならない」ということです。勉強でもより頭が良くなるためには難しい問題を解いて脳に強い刺激を与える必要がありますよね?これと同じことが筋肉にも言えます。

定量的なアプローチ

  1. 重量の増加
    • 筋肉に適切な負荷をかけるためには、重量を徐々に増やしていく必要があります。例えば、ベンチプレスで最初は40kgで10回できるとします。数週間後、同じ回数できるようになったら、重量を42.5kgに増やします。これにより、筋肉は新しい負荷に適応し、成長します。
  2. 繰り返し回数とセット数の増加
    • 同じ重量でより多くの繰り返しやセットを行うことも、過負荷を生み出します。たとえば、3セット10回だったものを4セット12回に増やすことで、筋肉に新たな刺激を与えます。
  3. トレーニングの強度
    • トレーニングの強度を上げることも過負荷の一形態です。例えば、より短い休息時間、高い強度での間欠的なトレーニングなどがあります。
  4. トレーニングの種類
    • 筋肉に新しい種類のストレスを与えることも、成長に役立ちます。例えば、フリーウェイトからマシンへの変更、または新しい種類の運動を取り入れることです。

実践のポイント

  • 徐々に増やす: 急激な増加は怪我のリスクを高めます。徐々に負荷を増やしていくことが重要です。
  • 個々のレベルに合わせる: トレーニングは個人の能力に合わせて行うべきです。無理をせず、自身のレベルと目標に応じて調整しましょう。
  • 回復を重視: 筋肉の成長と回復はトレーニングと同じくらい重要です。十分な栄養と休息を確保しましょう。

過負荷の原理を適用することで、トレーニングの効果を最大限に引き出し、筋肉の成長と強化を促進できます。しかし、怪我を避けるためにも、これらの変更は段階的に、慎重に行うことが重要です。

可逆性の原理

可逆性の原理は、トレーニングを止めるとその効果が時間とともに失われるということを指します。この原理は「使わなければ失う(use it or lose it)」とも表現され、体力や筋力などの身体能力は継続的なトレーニングによって維持されるということを意味しています。

定量的な観点からの可逆性の原理

  1. 筋力の低下
    • 一般的に、トレーニングを停止すると、2週間程度で筋力が低下し始めるとされています。研究によると、約3~4週間のトレーニング中断で筋力の5~10%が低下する可能性があります。
  2. 持久力の低下
    • 持久力に関しては、低下がもっと早く現れることがあります。約2週間の休息で、心肺機能や酸素摂取能力が低下することが知られています。
  3. 筋量の減少
    • 筋肉量の低下も、長期間のトレーニング中断によって起こります。筋トレをやめて数週間後から、筋肉のサイズや体積が徐々に減少し始める可能性があります。
  4. 代謝の変化
    • 定期的な運動を止めると、基礎代謝率が低下する可能性があります。これは、筋肉量の減少に伴い、消費カロリーが減るためです。

実践のポイント

  • 短期休息と可逆性: 短期間の休息(数日から1週間程度)は身体の回復に役立ち、長期的なパフォーマンスには大きな影響を与えません。
  • 長期休息の影響: 長期間のトレーニング中断は、上述したような身体能力の低下を引き起こします。
  • 復帰時のトレーニング: トレーニングを再開する際は、身体の現在の状態に合わせて負荷を調整し、徐々に元のレベルに戻すことが重要です。

トレーニングの効果は維持するために継続が必要ですが、短期間の休息は回復や精神的なリフレッシュに役立つことを理解することが大切です。しかし、長期間のトレーニング中断は、可逆性の原理により、身体能力の低下をもたらすため、注意が必要です。

特異性の原理

特異性の原理(Specificity Principle)は、トレーニングの効果が、そのトレーニングがターゲットとする特定の筋肉群や能力に特異的であるという考えに基づいています。つまり、ある特定の目標を達成するためには、その目標に関連する特定の運動やトレーニング方法を選択する必要があるということです。

特異性の原理の具体例

  1. 筋力トレーニング
    • 筋力を増加させたい場合、重量を使ったレジスタンス(抵抗)トレーニングが効果的です。たとえば、ベンチプレスは胸の筋肉、デッドリフトは背中とハムストリングス、スクワットは大腿四頭筋と臀筋をターゲットにします。これらの運動は、特定の筋肉群の強化に特異的です。
  2. 持久力トレーニング
    • 長距離走などの持久力を高めるためには、長時間の有酸素運動が必要です。例えば、マラソンランナーは長距離走のトレーニングを重視し、短距離走者はスプリントやインターバルトレーニングを行います。
  3. スポーツ特有のスキル
    • 各スポーツには特有の動作があります。例えば、テニスプレーヤーはラケットを使った特定の動作を繰り返し行い、そのスポーツ特有の筋肉を鍛えます。
  4. 可動域の改善
    • 特定の可動域を広げるためには、その関節や筋肉をターゲットとしたストレッチが必要です。例えば、ヨガやピラティスは全体的な柔軟性とバランスの向上に効果的です。

実践のポイント

  • 目標に合わせたトレーニング: トレーニングプログラムは、達成したい具体的な目標に基づいて構築する必要があります。
  • バランスの取れたトレーニング: 特定の目標に特化しつつも、全体的な身体のバランスを保つことが重要です。
  • 経験と実験: 新しいトレーニング方法を試しながら、自分の体に何が最適かを見極めることが大切です。

特異性の原理を理解し適用することで、トレーニングの効果を最大化し、特定の目標に向けて効率的に進めることができます。重要なのは、目標に合わせた適切なトレーニング方法を選択し、継続的に実践することです。

全面性の原則

全面性の原則(Principle of Totality)は、体のすべての部分は相互に関連しているという考え方に基づいており、全身のバランスと調和を重視するトレーニングアプローチを指します。全面性の原則に従うと、一つの部位だけでなく、全身を均等に鍛えることが重要となります。

全面性の原則の具体例

  1. 全身トレーニングプログラム
    • 全身を均等に鍛えるためには、全身トレーニングプログラムが有効です。例えば、週に数回、全身の筋肉群をバランス良く鍛えることで、筋力、柔軟性、持久力などを全面的に向上させます。
  2. 筋バランスの重要性
    • 体の前面だけでなく、背面の筋肉も同様に鍛えることが大切です。例えば、胸筋を鍛えるベンチプレスと同じくらい、背筋を鍛えるローイングやプルアップも行います。
  3. 多関節運動の活用
    • スクワットやデッドリフトなどの多関節運動は、複数の筋肉群を同時に鍛えることができます。これらの運動は全身の筋力と調和を高めるのに効果的です。
  4. 柔軟性とバランス
    • 筋トレだけでなく、ストレッチやヨガ、ピラティスなどを取り入れることで、柔軟性やバランスも同時に鍛えます。

実践のポイント

  • 均等なトレーニング: 全身の筋肉群を均等に鍛えることで、筋力のアンバランスを防ぎ、怪我のリスクを減らします。
  • 多様なトレーニング手法の組み合わせ: 筋トレ、有酸素運動、柔軟性トレーニングなど、多様な手法を組み合わせることが重要です。
  • 定期的な評価と調整: 定期的にトレーニングプログラムを評価し、必要に応じて調整することで、全体的な身体のバランスを維持します。

全面性の原則に従うことで、全身の筋肉群をバランス良く鍛え、全体的な健康とパフォーマンスを向上させることができます。重要なのは、一つの部位や能力に偏らず、体全体を考慮したトレーニングプログラムを実施することです。

意識性の原則

意識性の原則(Principle of Consciousness)は、トレーニング中に自分の体とその動きに完全に集中し、意識的に筋肉をコントロールすることの重要性を強調します。意識的なトレーニングは、より効果的な筋肉の活動を促し、怪我のリスクを減らすだけでなく、トレーニングの効果を最大化するのに役立ちます。

意識性の原則の具体例

  1. マインド・マッスル・コネクション
    • トレーニング中に特定の筋肉を意識的に感じることで、その筋肉の活動を高めることができます。例えば、ベンチプレスを行う際に胸筋を意識することで、より効率的に筋肉を鍛えることができます。
  2. フォームと技術の重視
    • 正確なフォームと技術に集中することで、トレーニングの効果を高め、怪我のリスクを減らします。例えば、スクワットを行う際に膝の位置や背中の角度に注意を払うことが重要です。
  3. 呼吸のコントロール
    • トレーニング中の呼吸を意識することも大切です。筋肉に酸素を供給し、動作のリズムと同期させることで、パフォーマンスを向上させます。
  4. 自己評価と調整
    • トレーニング中の自己評価を行い、必要に応じて負荷やフォームを調整することで、より効果的なトレーニングが可能です。

実践のポイント

  • 集中力の向上: トレーニング中は、動作に完全に集中します。
  • 筋肉の意識: 各運動でターゲットとする筋肉を意識し、その筋肉の収縮を感じるようにします。
  • 質の重視: 重量や回数よりも、動作の質とフォームを重視します。
  • 定期的な反省とフィードバック: トレーニング後に行ったことを反省し、次回のトレーニングで改善するためのフィードバックを行うことが大切です。

意識性の原則をトレーニングに取り入れることで、トレーニングの質が向上し、筋肉の成長と健康が促進されます。重要なのは、単に動作を行うのではなく、それぞれの運動において意識的に筋肉を使い、フォームに集中することです。

漸進性の原則

漸進性の原則(Principle of Progression)は、体力や技能を向上させるために、トレーニングの負荷や強度を徐々に増やしていくことの重要性を強調します。この段階的なアプローチは、体の適応を促し、長期的な進歩を達成するのに役立ちます。

漸進性の原則の具体例

  1. 重量の徐々な増加
    • 筋力トレーニングでは、筋肉の成長と力の向上を促すために、使用する重量を徐々に増やす必要があります。例えば、ベンチプレスで使用する重量を毎週少しずつ増やすことで、筋肉に新たな刺激を与えます。
  2. 繰り返し回数の増加
    • 同じ重量でより多くの繰り返しを行うことも、負荷を増やす一つの方法です。例えば、毎回のトレーニングで1回ずつ繰り返し回数を増やしていくことが可能です。
  3. トレーニングの強度の増加
    • トレーニングの強度を高めることも重要です。例えば、より短い休息時間を設けたり、高強度インターバルトレーニング(HIIT)のような高い強度の運動を取り入れたりすることです。
  4. 新しい運動の導入
    • トレーニングルーティンに新しい運動を導入することで、異なる筋肉群に刺激を与え、進歩を促します。

実践のポイント

  • 個人のレベルに合わせた増加: トレーニングの強度や負荷を増やす際には、個人のフィットネスレベルと能力に合わせて行う必要があります。
  • 怪我の予防: 急激な負荷の増加は怪我のリスクを高めるため、増加は段階的に行うことが重要です。
  • 定期的な評価と調整: トレーニングプログラムは定期的に評価し、必要に応じて調整することで、持続的な成長を促します。

漸進性の原則を適用することで、トレーニングの効果を最大化し、安全かつ効果的にフィットネス目標を達成することができます。重要なのは、個々の能力に合わせて負荷を徐々に増やし、体の適応を促しながら成長を遂げることです。

個別性の原則

個別性の原則(Principle of Individuality)は、トレーニングプログラムと運動の効果が個人によって異なるという事実に基づいています。つまり、個々の体の特性、フィットネスレベル、健康状態、目標、そして個人的な反応に基づいて、トレーニングをカスタマイズする必要があるということです。

個別性の原則の具体例

  1. 体の特性に合わせたトレーニング
    • 各個人の体型、筋肉の構成、柔軟性などに応じてトレーニングを調整します。例えば、関節の可動域が狭い人は、可動域を広げるエクササイズを取り入れる必要があります。
  2. フィットネスレベルの考慮
    • 初心者、中級者、上級者でトレーニングの強度や内容が異なります。初心者は基本的な動作をマスターし、徐々に負荷を増やしていくことが大切です。
  3. 健康状態への配慮
    • 持病や過去の怪我がある場合、それらを考慮したトレーニングプログラムが必要です。例えば、膝の怪我がある場合は、膝に負担の少ない運動を選びます。
  4. 個人の目標に基づくトレーニング
    • 体重減少、筋力向上、持久力向上など、個人のトレーニング目標に応じてプログラムを組みます。

実践のポイント

  • 個別のアセスメント: トレーニングを開始する前に、個々の体力レベル、健康状態、運動経験を評価します。
  • 個別化されたプログラムの作成: 各個人のニーズに合わせたカスタマイズされたトレーニングプログラムを作成します。
  • 継続的なモニタリングと調整: トレーニングの進行に伴い、個人の反応をモニタリングし、必要に応じてプログラムを調整します。

個別性の原則に従うことで、各個人のニーズに合わせた効果的なトレーニングが可能になり、より安全で効率的な結果を得ることができます。重要なのは、一律のプログラムに固執するのではなく、個々の特性と目標に応じてトレーニングをカスタマイズすることです。

反復性の原則

反復性の原則(Principle of Reversibility)は、トレーニングを停止すると、以前に獲得したフィットネスレベルや筋肉量が減少し始めるという現象を指します。簡単に言えば、「使わなければ、失う」です。この原則を理解することで、トレーニングの継続の重要性を認識し、効果的なトレーニング計画を立てることができます。

反復性の原則の具体例

  1. 筋肉の萎縮
    • トレーニングを数週間休むと、筋肉のサイズと強度が減少し始めます。通常、トレーニングを止めてから2〜4週間後に筋力の低下が見られることが一般的です。
  2. 心肺機能の減少
    • 有酸素運動を長期間休むと、心肺機能が低下します。たとえば、ランニングやサイクリングなどの有酸素運動を2週間以上休むと、持久力が著しく低下することがあります。
  3. 柔軟性の低下
    • 定期的なストレッチを行わなくなると、柔軟性が減少します。数週間の休止で顕著な柔軟性の低下が起こる可能性があります。
  4. 代謝率の変化
    • 筋肉量が減少すると、基礎代謝率も低下するため、消費カロリーが減ります。

実践のポイント

  • 継続性の重要性: トレーニングの効果を維持するためには、継続が必要です。
  • 段階的な再開: トレーニングを休んだ後、徐々に負荷を増やして再開することが重要です。
  • 多様性の導入: 長期間同じトレーニングを続けると飽きが来るため、新しい種類の運動を取り入れてモチベーションを保ちます。
  • 適切な休養: 短期間の休息は体の回復に役立ちますが、長期間の休養は逆効果になる可能性があります。

トレーニングの効果は継続によって維持されるため、反復性の原則を理解し、計画的にトレーニングを続けることが重要です。また、怪我や病気で休む必要がある場合は、体の状態に合わせて徐々にトレーニングを再開することが肝心です。

まとめ

いかがだったでしょうか?中々筋トレを初めとする運動で効果がでないと悩んでいる方には是非今回の記事を参考に自分のトレーニングに活かしていただければと思います。記事だけだと良くわからない、どこから始めればいいんだろうとお悩みの方はお気軽にご連絡いただければと思います。